
███████████████─ も く じ ─████████████████
✹☣✸⊗☸✹☣✸⊗☸✹1)未亡人百合子の純愛
✹☣✸⊗☸✹☣✸⊗☸✹2)人妻京子
✹☣✸⊗☸✹☣✸⊗☸✹3)百合子の親友真紀子、主婦35歳
✹☣✸⊗☸✹☣✸⊗☸✹4)美貌の新妻房子25歳
✹☣✸⊗☸✹☣✸⊗☸✹5)娘の担任に恋した人妻可奈子は40歳
✹☣✸⊗☸✹☣✸⊗☸✹ E P I L O G U E
██████████████─ // も く じ ─███████████████

1)未亡人百合子の純愛
「バカね、私ってー。いつも不安になるのよね」
若くして未亡人になった百合子はまだ35歳。 亡き夫の一周忌の法事を終えたあと、夫と特に親しかった友達数人と精進落としをと小料理屋に集った。
「ゆりちゃん、あなたまた痩せた?」と、
同窓生の友達が百合子の付けている淡水パールのネックレスに手を伸ばした。
「ねえ?これいくらしたの?」
「安物よ。なぜ?」
「ちょっとね。来週、家でも法事があるのよ。どんな格好で行こうかって…」
「これ、貸してあげようか?」
「いいわよ。チャンスだからダンナに買ってもらおうって思ってるから…」
「ご主人はお元気?」
座敷部屋に女性は百合子と彼女だけ、あとの三人は男性、夫の高校時代からの同窓生だ。 そろそろ皆アルコールがまわってきて、軽口を叩き合うようになった。
「喪服の未亡人かあ~、いいなあ~。 百合子、オマエ再婚相手はいるの?」
「おおきなお世話よ! ね?」と、
百合子の変わりに、親友の真紀子が相手の顔をきっと睨み付けた。
「お、そうだ。 皆で写真撮っとこうよ」
「ええ~! こんな格好でえ~?」
「いいからいいから。 滅多に逢えないんだから…」
この時に皆で撮った写真は、亡き夫と百合子の古い親友達と揃っての「最後の一枚」になった。
やがて精進落としにしては賑やかな食事会も終わりに近づくと、
「いいのよ。 ここの支払いは私持ちだから…」と、
百合子は独りレジでの支払いに席を立った。 支払いを済ませて小座敷にもどってみると、彼一人を残して他の皆は帰ったと言う。
「変な気を使いやがって、あいつら…」と、
一人残った彼、関野俊之は困ったような笑顔を浮かべた。 百合子は高校時代に彼と付き合っていた。 卒業と同時に俊之とは疎遠になった。 彼とは肉体関係まで進んでいたが、なにかすれ違いがあって別れた。
「どうする? お茶でもしようか?」と、
百合子は笑顔をみせた。
「ああ、そうしようか…」
百合子は初恋の相手としばらく一緒に居ても、なにも感じなかった。 懐かしいとも、相手の今の生活の様子を問いかけようともしなかった。
彼と別れた百合子は、ひとり初秋の海辺にやってきた。 昔からの古い友達と一緒に過ごした百合子の気持ちに、亡き夫への想いが募り、水平線を見つめるだけの百合子は、無性に寂しくなった。 実家の両親に預けてきたふたりの子供のことも、今の百合子の心にない。
(あなた、なぜ私を一人おいて逝ってしまったの!)
今の百合子の心境は、死も恐れなくなっていた。 波打ち際まで歩いていき、このままこの海の底に身を沈めてもいい心境に追い込まれていた。 百合子は広い海の水平線に向かって手を合わせた。

その夜百合子は、夫が死んでからはじめて夫に抱かれている夢を見た。 浅い夢は、これが夢だとわかる。 それがますます百合子の心を切なくした。 百合子の心の切なさは、夢の中で今は亡き夫と素肌を触れ合ってすぐに逝かせられた。 やがて、百合子の夢が深くなった。 彼は夫婦の交わりが済むと百合子の裸体をカメラに収めたがり、何時になく百合子は大胆なポーズをとった。 夢であろうとも、百合子は夫を離したくなかった。 彼を夢の中に引き止めておけるなら、どんなことでもしようとした。
翌朝はやく目覚めた百合子の枕は、涙でぐっしょりと濡れていた。 夢の中で亡き夫に抱かれてうれしかったのに、結局は寂しくて泣き通しだったらしい。 これで夫の一周忌が無事に済んだ。 ようやく夫の魂はこの世から去った。 後は一年に一度お盆に帰ってくるだけだ。 百合子はこの朝、新たな自分を見出そうとした。 女としての新たな自分の先行きを思い描かねばならない。 それが未だに愛する亡き夫への供養になるからだ。
「あなたッ、私これからいっぱい恋するからね? いいでしょ!」と、
百合子は実際に声に出して夫に語りかけた。
「ママ~? なにか言った? はやく起きてきよ~ッ」と、
壁一枚隣りの娘の部屋から声がかかった。
「はぁ~い!」と百合子。 大声をだして返事をした。 こうして又、若い未亡人の一日がはじまった…

2) 人 妻 京 子
関野俊之は、小さいながらも不動産会社の社長をしている。 だがこの長引く不況で資金繰りに窮していた。 この春の東北大地震の影響が重なり、今月末の期日で振り出していた手形の決済資金のあてが立たず、困り果てた俊之は遂に、富裕の父に金策を頼んだ。 電話口に出た俊之の父は、「幾ら入り用なんだ…」と、不機嫌そうに聞いてきた。 「300万でいいよ」と言うと、「いつだ…」 「今月末迄…」 「う~ん…、後でまた電話する…」と、無愛想の口調のまま父は電話を切った。 それが昨日、高校時代の親友の一周忌の法事に出席した日の朝のことだ。 亡くなった親友の未亡人は俊之の初恋相手だが、すでに彼女の心の中に、俊之のことはなんの欠片も残っていなかった。 あるいは?という淡い期待のようなものを抱いていたが、そんな自分が惨めに感じられるほど、彼女の心は完全に俊之からは離れていた。 少しばかり気落ちしていた俊之が、帰りの新幹線のホームにあがったところで携帯が鳴った。 妻の京子からだ。
「あなた?」 「ああ、なんだ…」 「さっき、お義父さまから電話がありました…」と妻の京子。 父からの電話は、農協の慰安会で今熱海に来てるから、妻の京子に金を渡すから、熱海まで取りに来るようにと言われたと言う。 「なぜ又、おまえに…?」 「さあ?どうしてでしょう。 どうしましょうか?」 「行ってくれるのか?」 「あなた今どこ?」 「仙台駅だよ」 「だったら私が行くしかないかしら?」 「そうしてくれるか?」 「わかりました。 これからすぐ行ってきます…」と言って、妻との会話が済んだ。 俊之の気持ちに父に対する不信感がわいた。 なぜ口座に振り込んでくれなかったのか、なぜ自分にではなく、妻の京子に金を取りに来いと言ったのか、それが腑に落ちない。
台風12号の影響で、京子が熱海駅に降り立った時すでに夜になっていた。 義父に指定されたホテルへはタクシーで5分ほどで着いた。 受付で義父の名を告げると、「いらっしゃいませ。 関野様からご連絡が入りまして、一、二時間遅れそうなご様子です。 お部屋にご案内しますので、どうぞ」と言う。 老齢の仲居の案内で京子は和式の部屋に案内された。 和式のテーブルの上にはすでに簡単な料飲の用意も整っていた。 「お待ちの間に、お風呂でもいかがですか?」と笑顔の仲居に促された。 京子はその仲居の立ち振る舞いに奇妙な不信感がわいた。 なぜか、男と女の秘めた逢瀬の客と誤解されてる気がした。 それを打ち消すかのように、京子は夫に電話を入れた。
俊之が妻の居ない家に帰ってきたのは夜の8時過ぎだった。 すぐに妻から電話は入り、父と会う約束のホテルで待ってると言う。 もしかしたら今夜は帰れなくなるかもしれないとも言う。 台風の影響で帰りの電車がどうなるか判らない。 妻からの電話を切ってから、また俊之の気持ちに父への不信感が沸いた。 七十ま近かの老齢であろうとも父も男、妻の京子に不純な気持ちを抱いていないと言い切れない。 次第に俊之の気が重くなった。 やがて不可思議な疑念が膨らみ、俊之は妻の携帯に掛けた。 だが、何度掛けても通話不能の状態になっていた。 車のキーを鷲づかみ、俊之が車庫へ向かおうとすると、雨脚が激しさを増した。 これから熱海に車で向かってどれほど時間が掛かるのか分からない。 しかし俊之は、もう後先を考える余裕がなかった。 未だに柔道着を着るという恰幅の良い父の、脂ぎった顔が脳裏から消えてくれない。 (もし俺の妻に変なマネをすれば、殺してやる!)と、父への妄想からくる憎悪が俊之の息さえも荒げていた。
仲居の格好をした旅館の女将幸江が、帳場でテレビを観ていた時、今夜はたった一組の客の、主客が到着したと連絡を受けた。時計の針は九時をまわっている。 まだ、このカップル客が泊まりになるのか休憩だけなのか決まっていなかった。 初老の客を女性の待つ部屋に案内すると、部屋に入る前に、「なにか簡単な夜食とビールとワインを頼む…」と言われた。 男性客と一緒に部屋に入ると、先客もテレビを観ていた。 「それではどうぞごゆっくり」と言って幸江が部屋から退出しようとすると、「あ、ちょっと待って。 これを…」と、男性客から心付けを渡され、「すぐ風呂に入りたいが、いいかね?」と聞かれた。 「はい、どうぞどうぞ…」と答えてから、その部屋を後にした。 それからすぐに帳場に居た幸江の元に、近所の寿司屋から小料理と飲み物が届いた。 それを持って、たった一組だけの部屋に入ると、男性客の方だけが居間のテーブルで煙をふかしていた。 終始無言の客の前で持参した品々をセットし終え、「でわ、ごゆるりと…」と挨拶した幸江が、(チラッ)とだけ襖戸の閉まった隣りの部屋の気配を探ったが、なんの物音もしなかった。

京子は、羽根布団の上で恐怖に震えていた。
義父に手を引かれたことの恐怖感が、京子の体の中を駆け巡り、手足が震えて、ひとり腰砕けになりそうになっていた。 だがこの場から立ち去ることができず、ドッと相手の体を突いてこの部屋に逃げ込み、襖を引いていた。 なぜ部屋の外に向かわなかったのか、自責の念にも捕らわれたが、窮地の夫のためには、義父から金を受け取って帰らねばならなかった。 接近した台風の影響で屋外の暴風雨が激しくなってきている。 この程度のか弱い女の抵抗で、果たして義父は諦めてくれるだろうか? しかし今までの経過を思うと、義父は用意周到に、獲物としての嫁京子を手篭めにしようと罠をしかけていたと分かる。 たとえ台風でなくともこの時間、京子に家に帰る術は残されてなかった。 青い顔をして振るえながら、京子は夫の顔を思い浮かべた。 (助けて、あなた! わたし、どうしたらいいの?)
帳場でウトウトしながらテレビを観ていた女将の幸江の耳に、外の風雨の音に混じって、か細い女性の泣き声が聞こえたような気がした。 (いよいよ始まったのかしら?)と、随分と歳の離れたカップル客のことが頭に浮かんだ。 時計に目をやると11時近い。 (あの初老の男性からして、睦み合って、あと一時間?)と、幸江はテレビのボリュームだけを消して、 静まり返った館内に聞き耳を立てた。 すると、若い女性客の艶のある泣き声が、湿った夜気を震わせて断続的に耳に入ってくる。 (待ち合っての逢瀬だと言うに、なにもあんなに悲しそうな声をあげなくてもいいのに…)と、少しあの男女の仲に不信感がわいた。 そんな幸江の予想通りに、それからぴったり一時間後の深夜12時、男性客ひとり受付に下りてきた。 「連れ合いは泊まるから…」と言ってチェックアウト。「タクシーを頼む…」と言う。 5分と待たずタクシーが来て、客を無事に送り出した。
京子の夫俊之が、暴風雨のなか夜の熱海の街に辿り着いたとき12時をすぎていた。 もう通じるだろうと思って妻の携帯に掛けてみた。 「…はい、」 (あ、出てくれた!) 「俺だッ!いま、どこだッ?」 「…駅に向かって…、歩いてます」 「歩いてる? 俺も今熱海に来てるんだ。 じゃ俺も駅に向かうから」 「はい、あなた…、わかりました…」 「あチョッと。 電話は切るな。 このまま、話しながら。 いいな?」 「…、…」 「ど、どうした?」 「…、…ぅ…、」 「どうしたッ! 京子!」 この時、俊之の耳に妻の京子が泣いているような気配がした。 携帯を耳にしたまま俊之は熱海駅に向かって慌しく車を発進させた。 父親の妻に対する疑惑が、ドス黒い大きな塊となって俊之の胸に重く圧し掛かってくる。 外に荒れ狂う暴風雨よりも激しさが増していく。
3)百合子の親友真紀子、主婦35歳
女とは、他人の観察が趣味(本能)のようなもの!っと、真紀子はおもっている。 しかし、若くして夫を亡くした親友の百合子に対してだけは、そういう気持ちにならなかった。 本当なら、もう一周忌も過ぎたことだし、(再婚しろ!)って迫りたい気持ちもあるのだが、気軽に言い出せないでいた。 亡き夫を愛する百合子の気持ちの深さを、自分が誰よりも知っているということもある。 そんな真紀子だが、最近になって、浮気しようかと考えていた。 真紀子の夫は、最近構ってくれない。 ひとつ真紀子よりも年下の夫だが、夫婦生活は淡白だった。 「あなたっ、女の浮気は洒落にならないわよ!」と、親友の百合子に何度も言われているが、女であることを止めてしまうことの方が、もっと恐いと真紀子は思っていた…。
それは先月の大雨が降った休日のことだった。 「まきこさ~ん!」 夫以外の男性の呼ぶ声に、真紀子が振り向いた途端だった。 背の高い男性に、いきなり(ぎゅっ)と抱きかかえられた。 「きゃ!」と、 短く悲鳴をあげて相手の顔を見ると、料理教室の生徒の清志君だ。 たぶん彼は真紀子より10歳以上年下のはずだ。 彼とはひょんなことから携帯のメールをやりとりする仲になっていたが、まさか雨の中で抱きついてくるなんて、彼はどうかしている。 どうかしてる!と、真紀子は思ったが、(ふたりっきりで合いたい!)とは何度かメールで言われていた。 「ぼく、まきこさんに会いたくて会いたくて。 ごめんなさい」 前から真紀子は、彼のメールを見ては、(キュン)と胸をときめかしていた。 年下の彼に会いたいという女心と、会えばアブナイという理性が、 真紀子の気持ちを甘くしていた。 しかしそれも人妻主婦としてのタテマエの心の葛藤だった。 「雨の日のまきこさんって、すごくキレイ…」 彼は事もなくそんな言葉を口にし、何時しか相合傘で、人気のない住宅街を歩いていた。 「あなたも若いわねぇ」と、 無難に真紀子は彼に言葉を返し、少し歩くと、彼の車が停めてあった。 彼に促されて車に乗ってしまった。 「ちゃんと落ち着ける場所に行きましょう」 落ち着ける場所は、無論ラブホテルだった。 ここが落ち着くのか、それとも堕ちていく処なのか、どっちなのよ?と、 真紀子は心の中だけで自問自答していた。 部屋の中は遠い昔に夫と一緒に入ったホテルと大差ない気がする。
「まきこさん、雨に濡れて寒かったでしょう」と彼。
ぎゅっと抱きしめて唇を寄せてきた。
「なんだ、あたたかいじゃん」
あたりまえでしょう。まだ夏だし、しかもここはもうベッドの中だもの。 そして、若い男の腕の中で、 真紀子は女を開花させるひとときを過ごしてしまった。 ホテルを出た後の車の中で彼は、
「夫の浮気は見破る方法は色々あるよね。でもね、その奥さんの浮気をどうすれば見抜けるか、知ってる?」
「知らないけど、それより、どうして妻の浮気を知りたがるのよ、男って」と真紀子。
女って、他人との比較で自分の位置を確認してるのよね。 その点、夫は自分の妻を同化物と勘違いしてるから、 自分のことも、自分と同化した妻のことも見えにくくなっているのだと、真紀子は思った。
「男ってね、夫になると、自分の妻をひとりの女性として見れなくなってしまうのよ」
「でもさ、まきこさん僕たちのことダンナにばれたら困るだろう?」
その原因を作ったのは、アンタだろう!って真紀子は思ったが、
「女の浮気は洒落にならによね。 バレたらどうしようか?」と、
彼に答えながら、真紀子は親友の百合子の顔を思い浮かべた。
「私だって、日常の辛さを忘れたかったのかも」(うそよ。こんなに幸せなのに、私って…)
しかし彼との別れ際の、真紀子の心にもないそのひと言が、ひどく彼を喜ばせたようだった。
その日の夜、真紀子は寝つく事ができずにいた。
ダブルベッドに入り、隣に寝ていった夫の背中を、 真紀子は物欲しげに眺めた。 しばらくして、そっと夫の腰に両手を回し、 そのままじりじりと股間の方へと伸ばした。 夫のそこはなにかいやらしい夢でも見ているのか、 僅かに膨らんでいるのが、小憎らしくなり、真紀子はそそっと撫であげてみた。
「ん…」
夫は、少しだけ腰をひくつけせたけれど、それだけで、また、静かに寝息をたてはじめる。 それが悔しくて、真紀子はもっとそれが張り詰めるまで何度もしごいた。 それでも夫は起きない。
「ねぇ…、…、こっち、向いて……」
真紀子は背中を向けて寝ている夫の体を自分のほうに反転させた。 すでに自分の股間が痛いほど充血してるのがわかった。 だが夫はまるで気づいてくれない。 しまいには、夫の手を自分の股間に引い来て、 無理やり夫の指を入れさせてしまった。
「あなた…」
「あなた…」
「な、なにやってんだ、おまえ」
夫は不審そうに真紀子を見た。 当たり前だ。 今まで一度だって、 ただの一度も夫の寝込みを襲ったことなどなかった。 ただし、その晩は、久しぶりにふたりとも全裸のまま、抱き合って深い眠りについた。
昼間、若い彼との別れ際、(また逢ってほしい!)と熱心に口説かれたが、真紀子はどうしても それに応じることができなかった。 でも、応じてあげればよかったのかもしれない、と翌日、 すぐに後悔した。 女って苦悩に負けても屈辱ではない。 むしろ、快楽に負けてしまうことが屈辱だと、真紀子は心底思い知らされた。
そんなことがあったりして月が変り9月になった。
真紀子の記憶の外に追いやられていたSEXのぬくもりと歓びと、快感。 それを若いあの彼が呼び覚ましてくれて、 それで点火された真紀子は、その夜には夫にまで迫った。 しかし、女としての生き方は依然として謎のまま。 ますます深まるばかり。 女がオーガズムを得るにコツがあるのかしら? 耳学問によると、パートナーによってコツを変える必要があるらしい。 ということは、やはり、SEXの回数だけあるとも言える。 夫にならば、「イッテもいい?」っ聞けるし、夫は、「どうぞ」と言ってから、ゆっくり&激しく反復してくれる。 若い彼とはそういう訳にはいかない。 夫とのラストは、黙って彼に身をゆだねていると、 ふたりとも一気にのぼりつめて、5秒か10秒ほど、真紀子は異空間へ誘われる。
「そのタイミング? そりゃ、おまえの呼吸でわかるだろう」と、
夫は言う。 ヤッたあとは結構にロマンチックになる夫だ。 その優しさ、思いやりが、夫婦の絆なのかもしれない。
だが、真紀子の貞操観念はかなり好い加減なものだった。
一度許してしまった彼にしつこく誘われて、 またしぶしぶだがホテルへ。 昼下がりの不倫タイム、2時間。 そろそろ真紀子はKO寸前だ。 若い男の子に2時間、ベタベタ、イチャイシャしていれば、 さすがの真紀子も疲れる。 井戸端会議の2時間は短いのに、 この間ずっと愛され続けてごらんよ。 かなりシンドイ。 若い彼は驚くほど耐久性がある。 彼じゃなくとも、いつもだと嬉しいはずなのに、 もうノーサンキュウだった。 ずっと営みの最中真紀子は、他のことを考えていた。 そう、女の性って、お天気やなのです。 でも若い彼はなにも理解できず、 手を焼いている感じだった。 しょうがないから、真紀子は(はやく終わって)という メッセージを含ませて、
「あなたって、がまん強いのね」と言うと、
「まきこさんのために、がんばってるじゃん」
真紀子は、うれしいやら、ガッカリするやらだった。 でもはっきりと本音が言えないのは、やはり人妻不倫ならではの弱みでしょう。 あるいは、どっかカッコつけてるかもしれない。 短くてもイヤ、長すぎるのもイヤ。 過ぎたるは及ばざる如し、かも。 不倫しようとする人妻は、多くのことに無知でなければならないと、 真紀子は学んだりした。
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